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作者の東田直樹さんがNHKスペシャルにも出演して、話題になっているこちらの「自閉症の僕が跳びはねる理由」を読んだ感想です。

自閉症スペクトラムの子供の親で、この本を涙なしに読める人はいるのでしょうか。

私はもう泣けて泣けて、どの言葉もまるで次男ミッキーから聞いているかのようで、翻訳者のデイヴィット・ミッチェルが解説で書いている通り、「私にとって、息子との関係における大きな転換点となった」本でした。現在30カ国語に翻訳され、世界中でベストセラーになっています。

「自閉症の僕が跳びはねる理由」は、これまで理解されることが少なかった自閉症の人の感じ方や特性、本当は何を考えているかという深い部分まで描き出した奇跡のような作品です。

作者の東田直樹さんは、現在でもうまく人と話すことができない重度の自閉症スペクトラム障害をもち、少しの変化で不安になる特性や、強いこだわりから、日常生活も介助なしには困難だそうです。それでも文字盤というツールを使うことで、言葉を組み立てて会話をしたり、文章を書く術を身につけることができました。

これは本当に奇跡だと思うのです。

根気強く筆談を教えた、教師と母親に感動です。本人のニーズとツールがぴったりとはまった、稀有な例なのでしょう。以下に、印象的だった部分をご紹介します。

「僕たちを見かけだけで判断しないで下さい。どうして話せないのかは分かりませんが、僕たちは話さないのではなく、話せなくて困っているのです」(「自閉症の僕が跳びはねる理由」より抜粋)

表現できないからといって、何もわからないわけではない。本当はとてもよく周りのことを見て聞いてわかっているのに、ただ話せないというだけで誰からも理解されないのは、絶望だと書いています。
これを読んで、私はミッキーに謝りました。ごめんね。ママは無神経だったね。ミッキーが発達検査や幼稚園の面接に行くたびに大荒れするのは、やっぱり自分のことを私が心配そうに話すことで不安になっていたからだと思います。

「障害のあるなしにかかわらず人は努力しなければいけないし、努力の結果幸せになれることが分かったからです。自分を好きになれるのなら、普通でも自閉症でもどちらでもいいのです。」(「自閉症の僕が跳びはねる理由」より抜粋)

13歳でこう書ける直樹さんは、本当に素晴らしい。そしてこの言葉を読んだときに、私はミッキーの療育に対しての姿勢が180度変わりました。
それまではどこかで、「普通の子供に混じってやっていけるよう」に、療育を受けさせていたところがありました。でも、本当に必要なのは「彼が自分らしく幸せに生きること」であって、それは健常者と同じように生きることではないのですね。彼が望み、必要としているスキルを身につけることで、より生きやすく幸せになれるために、療育を受けさせるべきなのだと今では思います。

なぜ跳びはねてしまうのか、なぜ手をひらひらさせたり、同じことをくり返してしまうのか、その理由についての説明はわりと詩的で、「わかりにくい」という人もいますが、でもこの本を読むことで、そうしている時の子供の気持ちを知ることはできます。何冊もの専門書を読むよりも、子供に寄りそってあげられるようになる本だと思います。ミッキーは、東田直樹さんよりも自閉的傾向は弱く、ずっとずっと扱いやすい子供なのでしょう。だからこそ、たくさんの我慢をさせてキャパを超えているのかもしれないなと思いました。

私たちが考えているよりも、自閉症の子供は大変な世界を生きているのです。
感じ方も聞こえ方も見え方も、それこそ全てがちがうのでしょう。
どうすれば、直樹さんにとっての文字盤に代わるものを、ミッキーに見つけてあげられるのか。
私の模索も、始まったばかりです。

自閉症の僕が跳びはねる理由 (角川文庫)
東田 直樹
KADOKAWA/角川学芸出版
2016-06-18





自閉症の僕が跳びはねる理由 (2) (角川文庫)
東田 直樹
KADOKAWA/角川学芸出版
2016-06-18





自閉症の僕の七転び八起き
東田 直樹
KADOKAWA/角川学芸出版
2015-06-25