自閉スペクトラム症

信号に例えて伝えてみる


我が家の次男ミッキーには、自閉症スペクトラムとADHDの発達障害があります。

衝動性が強く、とにかく手も足も止められないのが特性で、ひっくり返して投げて逃げて走り回って・・・が日常の光景です。善悪の区別はついてきているのですが、やってはいけないとわかってはいるけれどやってしまう、止められなさが目立ちます。

それが彼の特性なのだと理解した上で、できるだけ根気強く対応していこうと思ってはいますが、やはり我慢にも限界があるというか、一緒に暮らしていると家族のストレスも非常に大きいものがあります。

わざと物を壊して、叱られている最中もニヤニヤふざけていたり、窓の外の刺激に容易に気がそらされて話を聞いてくれなかったりすると、どっと徒労感に襲われます。




ところが、上の本の中で、高機能自閉症で問題行動が止まなかった子に、支援学校で行った、具体的な指導法が紹介されており、「信号に例えて、行動を修正する」くだりにピンときたので、家でも試してみました。

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絵カードを見せながら、
「いいことをしている時は、青信号。そのまま進んでいいです。ちょっと悪い時は、黄色信号。すぐに謝って直せば、青信号に戻れます。物を壊したり、人を叩いてしまった時は、赤信号。それは絶対にやってはいけないことだよ」
と教えました。

すると効果は絶大!

色によるイメージがはっきりついたのか、「今は何色?」と自分から聞き、よい行動をとろうと自制するようになりました。

ミッキーは自閉症よりもADHDの衝動性が強く、カードによる支援は、カードで遊んでしまったり、カードが気になってより話が聞けなくなってしまうのですが、やはり視覚優位なので、絵や文字でイメージをつけさせると効きます。カードにはくどくど描かず、あいさつなら「おはようございます」ひとつだけ、絵もできるだけシンプルにするように気をつけています。

信号は、とてもわかりやすい例えだったようです。

また、これまでも「これはいいけど、これはいけない」と絵に書いて教えていましたが、マルかバツかの二項対立しかなかったのが、「まだ間に合う」「直せる」と、中間の黄色信号の存在は大きいようです。

「うわー」となりそうになっても、引き返せることが増えました。

いきなりすべて直すのは難しいですが、「お茶をこぼしてしまっても、拭けばいいんだよ」と軌道修正できるようになれば、困った時でも、柔軟に対応できるようになれる気がします。やはり自閉の特性で、0か100か、となってしまいがちなので、できるだけ柔軟な考え方を教えてあげたいです。

そして、これまでいたずらやいじわるばかりだったミッキーにも、「青信号になりたい」という気持ちが、ちゃんとあったことに、うれしくなりました。どうすればいいのか、これまでわからなかっただけなのだと思いたい。

登下校中でも、以前は歩くのが嫌になるとすぐにランドセルを投げて逃げてしまって、追いかけるのが大変だったのですが、

「ママと同じ速さで歩けると、青信号。止まってしまうと黄色信号になるけど、また歩きだせば大丈夫だよ。ランドセルを投げるのは、赤信号。それはいけません」
と話すと、ちゃんと歩いてくれるようになりました。

お子さんの問題行動が止まず、どれだけ言って聞かせてもなかなかわかってくれない、わかってはいるけどやめられず困っている方は、ぜひ「信号作戦」、試してみてください。交通ルールが理解できる年齢なら、言って聞かせるよりも、直感的にイメージすることができます。

自閉スペクトラム症の易刺激性を抑える薬2種類

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次男ミッキーは、自閉スペクトラム症とADHDの発達障害があります。
6歳から、ADHDの衝動性を抑える薬「ストラテラ」を服用しています。

→(「いよいよ、服薬のスタート」)
→(「ん?ストラテラ、効いてきた??」)
→(「衝動性を抑えるADHDの薬3種類」)

先日、定期診察があり、小学校入学後の様子や今困っていることを相談してきました。ストラテラを飲むことで、衝動性はやや改善が見られるものの、感覚過敏からくる集団へのストレスは大きいこと、とくに最近、聴覚過敏がきつくなっているように感じると相談すると、薬の紹介をされました。

自閉スペクトラム症の小児期に使われる薬には、エビリファイリスパダールの2種類があります。自閉スペクトラム症に伴う易刺激性を改善するための薬です。

易刺激性とは、気分が変化しやすい、要求がすぐに受け入れられないと気がすまない、ささいなことで癇癪を起こしてしまう、乱暴な言動、イライラして怒りっぽい、暴力をふるってしまう、自分を傷つける自傷行動、などの症状を指します。自閉スペクトラム症の子供は、他の子供に比べて、自分だけのこだわりからパニックを起こしやすく、気持ちの切り替えが難しい特性があります。

エビリファイリスパダールは、もともと総合失調症やうつ病などの精神疾患に処方される、気持ちを鎮める薬です。2016年から、小児期の自閉スペクトラム症にも承認されました。


エビリファイ

有効成分(アリピプラゾール)。1日1回服用。

脳内のドーパミンのバランスを安定させる、抗精神病薬です。イライラや不安を抑え、精神状態を安定させる作用があります。また物事に取り組みやすくなったり、やる気を引き出す効果もあります。

小児期の自閉スペクトラム症には、頓服として服用することもあるようです。主な副作用に、眠気や体重増加、食欲増加、食欲減退、倦怠感、よだれが増えるなどがあります。
内用液、散剤、錠剤、OD錠(水なしで飲める錠剤)と薬の種類が豊富で、飲みやすさや携帯しやすさで選ぶことができます。


リスパダール

有効成分(リスペリドン)。1日2回服用。

脳内のドーパミとセロトニンのバランスを安定させる、抗精神病薬です。イライラや不安を抑え、乱暴な行動を抑制します。

主な副作用に、不眠、眠気、便秘、倦怠感、食欲の増加、体重の増加、じっとしていられない、よだれが増えるなどがあります。血糖値を上昇させることがあるので、専門医に経過を見てもらう必要があります。
こちらも内用液、細粒、錠剤、OD錠と薬の種類が豊富で、自分に合ったものを選ぶことができます。


エビリファイもリスパダールも、不安感を軽減し、気持ちを切り替えやすくする効果があります。エビリファイは、やる気を引き出す効果が、そこにプラスされると説明されました。

「エビリファイとリスパダールには、衝動性を抑える効果はありません。対して、ストラテラの不安を鎮める効果は、強くありません」

主治医の先生と相談の上、

どちらかを選ぶということであれば、衝動性が強いミッキーには、やはりストラテラのほうが必要だろうということになりました。聴覚過敏は薬で抑えられるものではないので、環境調整が重要です。薬を変える前に、もう少しストラテラと環境調整をして様子を見ることになりました。

ストラテラと併用という選択肢もあるのですが、

「エビリファイなんかは、もう少し大きくなってからでもいいと思いますよ。不安だから、これを飲むと気持ちが楽になると理解して、自分の状態を説明できる年齢になってからのほうが、過剰処方も防げますし」

と、先生も仰っていたので、もう少し様子を見たいと思います。

ただ、他の薬もあると知ることは、目安にもなり安心感があります。

エビリファイやリスパダールを処方されたけれど、これはどんな薬?と不安になっている方や、うちの子のこんな症状に困っているけれど、どんな治療法がある?という方に、参考になればと思います。

ただどちらも、副作用を伴う精神薬です。薬の使用は必ず医師と相談し、慎重になさってください。身体との相性もありますし、症状や年齢の変遷によっても、必要な種類や量は変わってきます。

また発達障害の子供には、療育(治療的教育)や環境調整(子供の特性に配慮し周囲の環境を調整すること)が大切です。服薬のみでなく、ソーシャルスキルトレーニングや環境調整を一緒にやることで、その子らしさを大事にしてあげられます。

「自閉症の僕が跳びはねる理由」を読んで

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作者の東田直樹さんがNHKスペシャルにも出演して、話題になっているこちらの「自閉症の僕が跳びはねる理由」を読んだ感想です。

自閉症スペクトラムの子供の親で、この本を涙なしに読める人はいるのでしょうか。

私はもう泣けて泣けて、どの言葉もまるで次男ミッキーから聞いているかのようで、翻訳者のデイヴィット・ミッチェルが解説で書いている通り、「私にとって、息子との関係における大きな転換点となった」本でした。現在30カ国語に翻訳され、世界中でベストセラーになっています。

「自閉症の僕が跳びはねる理由」は、これまで理解されることが少なかった自閉症の人の感じ方や特性、本当は何を考えているかという深い部分まで描き出した奇跡のような作品です。

作者の東田直樹さんは、現在でもうまく人と話すことができない重度の自閉症スペクトラム障害をもち、少しの変化で不安になる特性や、強いこだわりから、日常生活も介助なしには困難だそうです。それでも文字盤というツールを使うことで、言葉を組み立てて会話をしたり、文章を書く術を身につけることができました。

これは本当に奇跡だと思うのです。

根気強く筆談を教えた、教師と母親に感動です。本人のニーズとツールがぴったりとはまった、稀有な例なのでしょう。以下に、印象的だった部分をご紹介します。

「僕たちを見かけだけで判断しないで下さい。どうして話せないのかは分かりませんが、僕たちは話さないのではなく、話せなくて困っているのです」(「自閉症の僕が跳びはねる理由」より抜粋)

表現できないからといって、何もわからないわけではない。本当はとてもよく周りのことを見て聞いてわかっているのに、ただ話せないというだけで誰からも理解されないのは、絶望だと書いています。
これを読んで、私はミッキーに謝りました。ごめんね。ママは無神経だったね。ミッキーが発達検査や幼稚園の面接に行くたびに大荒れするのは、やっぱり自分のことを私が心配そうに話すことで不安になっていたからだと思います。

「障害のあるなしにかかわらず人は努力しなければいけないし、努力の結果幸せになれることが分かったからです。自分を好きになれるのなら、普通でも自閉症でもどちらでもいいのです。」(「自閉症の僕が跳びはねる理由」より抜粋)

13歳でこう書ける直樹さんは、本当に素晴らしい。そしてこの言葉を読んだときに、私はミッキーの療育に対しての姿勢が180度変わりました。
それまではどこかで、「普通の子供に混じってやっていけるよう」に、療育を受けさせていたところがありました。でも、本当に必要なのは「彼が自分らしく幸せに生きること」であって、それは健常者と同じように生きることではないのですね。彼が望み、必要としているスキルを身につけることで、より生きやすく幸せになれるために、療育を受けさせるべきなのだと今では思います。

なぜ跳びはねてしまうのか、なぜ手をひらひらさせたり、同じことをくり返してしまうのか、その理由についての説明はわりと詩的で、「わかりにくい」という人もいますが、でもこの本を読むことで、そうしている時の子供の気持ちを知ることはできます。何冊もの専門書を読むよりも、子供に寄りそってあげられるようになる本だと思います。ミッキーは、東田直樹さんよりも自閉的傾向は弱く、ずっとずっと扱いやすい子供なのでしょう。だからこそ、たくさんの我慢をさせてキャパを超えているのかもしれないなと思いました。

私たちが考えているよりも、自閉症の子供は大変な世界を生きているのです。
感じ方も聞こえ方も見え方も、それこそ全てがちがうのでしょう。
どうすれば、直樹さんにとっての文字盤に代わるものを、ミッキーに見つけてあげられるのか。
私の模索も、始まったばかりです。

自閉症の僕が跳びはねる理由 (角川文庫)
東田 直樹
KADOKAWA/角川学芸出版
2016-06-18





自閉症の僕が跳びはねる理由 (2) (角川文庫)
東田 直樹
KADOKAWA/角川学芸出版
2016-06-18





自閉症の僕の七転び八起き
東田 直樹
KADOKAWA/角川学芸出版
2015-06-25


自閉っ子の強い味方 数字の絵本特集!

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自閉症スペクトラムの人は、数字や記号にこだわりをもつことがよくあります。言葉に比べて意味が限定されており、いつどこで使っても同じ意味になることが彼らを安心させるようです。

我が家の次男ミッキーも、言葉に遅れがある自閉症スペクトラムですが、3歳半頃から数字に興味を持ち始め、あっという間に覚えてしまいました。喋れないのに数字を見つけると飛んでいって、「1、2、3」と数えていました。その頃、好きだった絵本。






安野光雅さんの風景画で、木や家の数を数えて楽しめる絵本です。何もなかった丘に、少しずつ家や人が増えて、物語が進んでいく様子が美しく、おすすめです。

数字を理解できたことで、生活面も大幅に過ごしやすくなりました。
例えばこれまでは「ちょっと待ってて」と言われても待てなかったのが(私の指示のしかたもよくなかったですね。あいまいな指示は自閉っ子にNGです)「10秒待って」と言うことで、わずか10秒ですが待てるようになりました。多動の子を育てていると、この10秒がどれだけありがたいか・・・( ;∀;)

また「〇時になったら帰るよ」とか「あと〇個でおしまいよ」といった指示が、守れるようになってきました。時計はまだ読めないのですが、10分くらい前から「あと〇分だよ」と予告することで、以前は切り替えられず癇癪を起していた場面で、すっと終わりにできるようになってきました。

好きなこと、興味のあることをうまく活かして、生活の困り感を軽減できたらいいですよね!そこで自閉っ子におすすめの、数字の絵本をご紹介したいと思います (^^♪)




まずは色彩豊かな絵で自閉っ子に訴えかけえるエリック・カールから「1、2、3 どうぶつえんへ」です。文章はなく、動物が次々と汽車に乗っていき、最後は動物園に行くというシンプルでわかりやすい絵本です。大好きな汽車や動物を数えながら、自然と数の概念が身につくおすすめ絵本です。丈夫なボードブックもあり。

かずのえほん1・2・3
五味 太郎
絵本館
1992-11


五味太郎
さんもはっきりした色遣いとわかりやすい絵で、子供に人気がある作家さんです。仕掛け絵本も多く、ユーモアたっぷりな展開でゲンキミッキーも大好きです。「かずのえほん1・2・3」は、かわいい動物がたくさん出てくる楽しい絵本です。「~人」「~冊」など物によって変わる数え方も、応用ができない自閉っ子は苦手。読み聞かせながら、自然と頭に入るとうれしいですね。



白地に赤いリンゴ、無駄がなくシンプルなページが自閉っ子に向いています。よねづゆうすけさんは、簡単で楽しい仕掛け絵本の人気作家さん。リンゴを数えながら、ページを開くと「ゾウが1つ食べるといくつ?」など、簡単な計算も勉強することができます。

1から100までのえほん
たむら たいへい
戸田デザイン研究室
1986-01-01





幼児向けの絵本はせいぜい20までなので、もっとたくさんの数を数えたい!という子にはこちらがおすすめ。「1から100までのえほん」です。小学校入学前に100まで数えられるようになったら、算数はついていけると言われています。一緒に数えるのは大変ですが、がんばってつき合いましょう!

はじめての123
永岡書店
2012-03-14


持ち運びに便利な、小さめの絵本です。数える問題のページや、100までの大きい数のページもあり、バランスがよく電車や病院の待ち時間に使いやすいので、おすすめです。
→(「発達障害の子供への読み聞かせのコツ」)

profile

筆者:nontan
男の子3人を育てています。
長男ゲンキ(2009年生)
こだわりの強いグレーゾーンBOY
+アトピー&卵アレルギー

次男ミッキー(2012年生)
ASD+ADHDのハイブリッドBOY
+ぜんそく&卵エビカニアレルギー

三男ユウキ(2015年生)
今のところ普通に見えるけれど…アレルギーなし

出産前は書店勤務&JPIC読書アドバイザーとして活動していました。子育てが一段落したら、読み聞かせ活動を再開したいです!
はじめての方は、こちらの記事をまずお読みください。

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